御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
この辺りは市の中心部で商業ビルが建ち並び、景観は東京都とあまり変わらない。

冬曇りの空は夜の様相だが、周囲は街明かりで明るかった。

チラチラと雪が降る中をコートのフードをかぶって歩く。

(今日の夕食、どうしよう。冷凍してあるご飯と、冷蔵庫のほうれん草のお浸し、目玉焼きにしよう。苦しいけど食べないと)

体重は妊娠前より十キロ以上増えている。

下から胃が押し上げられるように圧迫されて、一度にたくさん食べられない。

簡単な夕食も、たぶん二回に分けないと食べきれないだろう。

少し動くと息切れや動悸がするし、通勤や買い物をなんとかしている状態だった。

(産むまで三か月半くらいか。臨月になったら動けなくなりそう)

ひとり暮らしなのが心細い。

また不安が大きくなりかけて、慌てて自分を励ます。

(大丈夫。なんとかなるよ。私の決断は間違ってない。宏斗さんの夢を壊したら、自分の存在を消したくなるほどつらいもの)

大きなオフィスビルで仕事をする凛々しいスーツ姿の彼を想像し、口角を上げた。

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