御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
すぐに診察室へ通される。

「旦那さんは廊下でお待ちください」

結婚していないと間違いを訂正できる状態ではなく、診察台の上で痛みと焦りで呻きながら医師の処置を受けた。

それから一時間ほどが経ち、渚は病室に移された。

(赤ちゃんが無事でよかった……)

幸いにも双子に異常はなかった。

転倒の衝撃で陣痛が始まってしまったが、抑制剤の点滴をして治まり今は張りも感じない。

けれども三日ほど様子を見たいと言われ、入院することになった。

今夜はトイレに行くのも看護師を呼ぶように言われ、起き上がらないように指示されている。

この病室はふたり部屋だが、隣のベッドは空いていた。

渚のベッド周囲を整え点滴速度を調整している女性は先ほどの看護師とは違う病棟の看護師で、ベテランの風格が漂っている。

「廊下でお待ちの付き添いの方はご主人ですか?」

外来での渚の記録には未婚と書いてあったから聞いたのだろう。

早産の危機が去ってホッとしていたところで宏斗との関係性を問われ、緊張を取り戻す。

「お腹の子の父親です。でも結婚はしていなくて、ええと、その……」

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