御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
ベッドサイドのスツールに腰かけた彼がジャケットのポケットからなにかを取り出した。

「秘書課の同期の友人にもらったんだ」

渡されたのは安産のお守りで、有名な猫のキャラクターが刺繍されていて可愛らしい。

「ありがとうございます。お友達によろしく伝えてください」

喜んで受け取ったが、安産のお守りはこれで十五個目だ。

お見舞いに来てくれた由奈と吉見社長からひとつずつ、あとはすべて宏斗があちこちの神社を巡って買ってきてくれたものである。

それだけでなく彼は、ここに来ると過剰に世話を焼きたがる。

飲みものなどを買ってきてくれるのはもちろんのことで、ティッシュを箱から一枚引き出すのさえも手伝ってくれるのだ。

退社後だけでなく昼休みにも顔を出すことがあるし、『愛されてますね。羨ましい』と看護師にからかわれた時は恥ずかしかった。

(きっと宏斗さんも子供のためになにかしたいのよね)

母親はお腹で子供を育てるという役目があるが、父親は生まれてからでないと子供の世話ができない。

過剰な世話焼きの裏には、もどかしい気持ちがあるのではないかと思っていた。

< 187 / 222 >

この作品をシェア

pagetop