御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「他に困ってることや、俺にできることはない?」

(ここにいる理由がほしそう)

渚もそばにいてくれたら嬉しいが、会食の相手を待たせてはいけないと思うので首を横に振った。

「買い物はないですし、困ってもいないです。強いて言うなら足がむくんでいるくらいです」

それは宏斗にはどうにもできない問題だから言ったのだが、彼が張りきった顔をして床頭台の引き出しを開けている。

中に入れていた妊婦用のボディクリームを取り出すと、渚の足元に移動して病衣の裾をまくった。

「えっ、なにするんですか?」

「マッサージだよ」

「あの、それは自分で――」

「できないよね? 俺の出番だ」

お腹が大きすぎて自分の足も触れない。

余計なことを言ってしまったと思っていると、ボディクリームをつけた手で下から上へとしごくようにこすられた。

(気持ちいい)

大きな手が肌をすべるごとに重たい怠さが薄れていく。

血流がよくなって、つま先まで温まるのを感じた。

「どう?」

「すごく気持ちいいです。でも」

「なに?」

「ちょっと恥ずかしい……」

病室のドアは閉まっている。

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