御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
宏斗は苦笑しながら由奈のためにパイプ椅子を出してベッドサイドに置いている。

「どうぞ座ってください。お会いするのは初めてですね。改めまして、渚の夫の逸敷宏斗です。その節はご協力ありがとうございました」

札幌にいた時、渚の状況を知らせるための電話やメールのやりとりを何度かしたそうだ。

「由奈、たくさん心配かけてごめんね。私からもありがとう」

「いいって。渚は大事な友達だもの。戻ってきてくれてホッとしたよ。来週、出産だよね。頑張ってね」

「うん。由奈の結婚式、出席できなくてごめんね」

由奈は来月、教会での挙式とレストランでの披露宴を予定している。

ものすごく行きたいけれど、産後ひと月も経っていないので諦めるしかない。

お祝いの品だけ贈らせてもらおうと考えていた。

「そんなの気にしなくていいから。今は赤ちゃんのことだけ考えて。無事に生まれた報告を楽しみに待ってる。お互いに幸せになろうね」

由奈と手を握り合う。

その様子を宏斗が微笑ましそうな目で見守っていた。



そして迎えた出産の日――。

手術室にふたり分の産声が響く。

(生まれた……!)

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