御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
帝王切開なので産んだ感覚は味わえないと思っていたが、お腹からひとり、もうひとりと取り出される感覚はあった。

酸素マスクをした渚の顔の前に、まだへその緒がついたままの双子が差し出され、大きな口を開けて一生懸命に泣いている姿に涙があふれた。

ここまで来るまでに大変だったけれど、そんなつらさは吹き飛ぶくらいの感動が込み上げていた。

「ふたりとも結構大きいから保育器いらないかな」

ベテランの助産師がそう言って、手早く双子の処置をする。

「お兄ちゃんが二千五百十グラム。妹ちゃんが二千五百六十グラム」

二千五百グラム未満だと低出生体重児になり入院が長くなると聞いていたので、それを超えている体重にホッとした。

「正期産に入るまで頑張ったかいがあったね」

「はい。本当によかったです」

「一応、小児科の先生に診てもらってから決めるけどね、たぶん大丈夫。双子ちゃん、ちょっとだけママと離れて診察に行きますよ」

渚の処置はまだ終わっていない。

今はお腹の縫合の真っ最中で顔だけしか動かせず、助産師の背中を見送った。

(早く抱っこしたい……)

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