御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
それから三十分ほどしてストレッチャーで手術室を出た渚は、回復室と呼ばれるベッドが四つ並んだ部屋に移された。

翌日までこの部屋で手厚いケアを受け、そのあとに病室に戻る説明は聞いている。

他の三つのベッドは空いていた。

腕は動かせるが、まだ麻酔が効いているので下半身の感覚はない。

足にはむくみ防止の機器が取り付けられ、腕には血圧計や点滴の針、血中酸素濃度を測る機械もつけられているのでベッドが狭く感じる。

「旦那さんを呼んできますね」

ベッド周囲を整えてくれた看護師がそう言って回復室を出ていった。

今日は平日だが、宏斗は休みを取ってくれた。

少しして入ってきた彼の目は少し潤んで見える。

「渚、おつかれさま。元気な子をふたりも産んでくれてありがとう」

点滴の針が入っている方の手をそっと握られる。

「もう赤ちゃんに会ったんですか?」

「新生児室に運ばれる際の数秒だけね。泣き声も聞けたよ。嬉しかった……だけでは足りないな。なんと言っていいのかわからないほどの感動だ」

「私も同じ気持ちです。宏斗さん、涙が……」

手を伸ばし、彼の目尻からこぼれそうな水滴を拭いた。

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