御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
航大の名前に渚の兄の名を入れたのは宏斗の希望だ。

親友の分まで大きく強く生きてほしいという名づけの理由を聞いた時、感激して涙が滲んだ。

花凛という名は夫婦ふたりで考えた。

花のように可憐で優しく、それでいて凛とした強さを持って育ってほしいという願いが込められている。

一卵性双生児なので顔はそっくりで宏斗に顔立ちが似ていると渚は思っているが、彼には渚に似ていると言われた。

時刻は十七時。航大はバウンサーに揺られながら寝ているが、花凛は渚の腕の中で不機嫌そうな声をあげている。

オムツは変えたばかりでミルクの時間にはまだ早い。

夕方になると機嫌が悪くなるのはよくある話のようで、双子もこの時間はグズグズと泣くことが多かった。

「渚さん、あと三十分くらいいましょうか?」

キッチンから声をかけてくれたのは、四十代の経験豊富な家政婦だ。

退院してひと月は宏斗が育児休暇を取って夫婦ふたりだけで育児をしたのだが、仕事に復帰するタイミングで家事と育児の両方を手伝ってくれる家政婦を彼が雇ってくれた。

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