御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
華奢で小柄な体形で、控えめな性格がそのまま表れているような大人しい顔立ちをしている。

メイクは薄く肩下までの黒髪をひとつに結わえ、二十六歳の実年齢より若く見られることが多かった。

この店の値段設定は少々高めだが、平日でも夜は満席になり、今日もたくさんの客の笑顔を見られて幸せだった。

充実感を味わいながらテーブルや椅子を拭いていると、厨房から四十代後半の横幅のある男性が出てきた。

この店のオーナー兼料理長だ。

「水沢さん、二十三時過ぎてるよ。上がって」

「退勤の打刻はしてあります。ここの拭き掃除だけさせてください。終わったらすぐに帰りますので」

ホールスタッフとして働き始めて一年ほどになる。

アルバイトだが年に二回ボーナスもくれるので、東京でなんとかひとり暮らしができるだけの収入を得られていた。

「掃除までさせてすまないな。急に出てもらったのに」

今日のシフトは休みだったが、ホールスタッフのひとりが欠勤したそうで渚に電話がかかってきた。

「私、お休みの日は大抵自宅にいますので、人手が足りない時はいつでも連絡してください」

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