御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「警察や弁護士に介入してもらいたいところだが、岩淵を成敗すれば世話になった叔父さんの仕事に影響があるんだよな?」

「はい。きっと。離婚時にも叔父の仕事の件が理由で怒っていましたので」

法的な措置を取らずに穏便に対処したいのだが、繁史が諦める有効な方法が思いつかない。

食事の手を止めた渚に宏斗が言う。

「提案があるんだ。俺と結婚したことにしないか?」

「えっ……!?」

思いもしない提案に目を丸くすると、彼が苦笑した。

「驚かせてすまないが、警察や弁護士を挟まずに目的を果たすにはこれが最も効果的だ。渚ちゃんの夫という立場で岩淵と話し合う」

たしかに復縁要請はしてこなくなりそうだ。

(でも、宏斗さんはそれでいいの?)

大企業の専務で御曹司という肩書を思うと気後れする。

「あの、私は家族も学歴も仕事もなくて。そんな私が宏斗さんの奥さんには……あっ、もちろん偽物なのはわかってますけど、それでも」

戸惑いを口に出してみると、釣り合わないにもほどがあると感じた。

すると宏斗の顔が寂しげに曇る。

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