御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
かけてきた相手は代表取締役社長を務める父親だ。

『昨夜のアメリカ大統領の発言は耳にしているか?』

「はい。関税を二十五パーセントに引き上げるというニュースですよね?」

アメリカ車の売り上げを伸ばすため、現在日本車にかけられている二.五パーセントの関税を二十倍上乗せするという会見があり自動車業界に衝撃が走った。

『対策会議を指示したが、急な面会が入った。代わりにお前が出ろ。十時からだ』

「承知しました」

子供の頃、父は競泳の大会の応援に来てくれたり、キャンプやスキーにも連れて行ってくれたりした。

父子関係は良好でプライベートではラフに話す間柄だが、職場では馴れ馴れしい言動はとらない。

『俺からの指示は〝攻めろ〟だ。あとは言わなくてもお前ならわかるな?』

「はい」

電話を終えてから秘書に言う。

「十時からアメリカ大統領の関税引き上げの件についての対策会議に出る。スケジュールを調整してくれ」

秘書がいったん下がったあと、社長から転送されてきた会議資料を至急確認する。

今後を左右するような重要会議を任され、隠しきれない闘志が宏斗の口の端を無意識に上げていた。

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