御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
十時から始まった対策会議の出席者は海外事業部、法務、財務、他五部署の管理職社員と宏斗の十五名だ。

コの字型にテーブルが組まれていて、宏斗の席は窓際のスクリーンに近い上座だ。

スクリーンにはここ数年のアメリカでの車種別売上のグラフが表示されている。

緩やかに上昇しているそのグラフを解説しているのは、海外事業部の課長職に就いている四十代の男性社員だ。

「大統領の発言の関税率になった場合の予想販売台数と売り上げがこちらになります」

次のグラフに切り替わった途端に出席者数名が小さく唸る。

大幅な赤字収支になるのは確実で、そうなると工場や販売店舗の縮小、大規模なリストラが必要となるだろう。

宏斗はグラフを睨むように見ており、他の面々も深刻そうな顔をしていた。

その中でひとりだけ場違いに笑った者がいた。

白髪の交じった七三分けの髪形の財務部の部長だ。

「そう深刻に捉える必要はないでしょう。皆さんがご存じの通り、アメリカの現大統領は発言をコロコロと変える人です。外交カードにしようと揺さぶりをかけてきているだけで、まさか断行するとは思えませんな」

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