御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
それは今朝の経済ニュースにも書かれていた見方だ。

「日本政府は反応していませんし、もう少し動向を見守ってはいかがでしょう」

財務部の部長は定年間近でこの中の最年長だ。

宏斗が平社員だった十年ほど前は彼の下で働いていたので、今でも言動の端々に軽視されているような雰囲気を感じる。

真正面に座っている彼にニッと口角を上げられ、眉間に皺を寄せた。

(推移を見守るという結論を期待して、社長が対策会議を指示したと思っているのか?)

冷たい視線を向けて言う。

「初動が遅れたために不十分な対策しか取れず、失墜した企業の事例がいくつもあります。様子見は最も取ってはいけない対応です」

会議室の空気が張り詰めた。

宏斗が重役の座に就いたのは四年前だ。それまでの一社員だった時とは違い、厳しい態度を心がけている。

その結果、社内では冷徹な印象を持たれているようで、今でも侮った目で見てくるのは財務部の部長くらいだろう。

その部長も厳しくダメ出しをされたことで焦り顔に変わり、背筋を伸ばしていた。

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