御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
そう信じて兄とも協力し、ISSIKIを盛り立てていこうと思っていた。

「相手は誰か聞いてるか?」

母親の動向を教えてくれた友人に眉根を寄せて問う。

「経産省の事務次官の姪だって」

「まずいな。俺にはツテがない。どうやって断るか」

自分勝手な母のことだから、事前に宏斗の意見を聞くことなく見合いをセッティングする気だろう。

正式に見合いをしてから断るのは大変なので、その前に相手に接触して母の失礼を詫び、自分には結婚の意思がないことを伝えなければならない。

どうやって事務次官まで道を繋げようか考えていると、猿渡が弁当箱を指さして軽く言う。

「副社長に彼女を紹介すればいい。その子と結婚を考えていると言えば諦めるんじゃないか?」

「それは……できない」

渚には見合いを回避したいから協力してほしいと言って偽装パートナー契約を持ちかけたが、利用する気は最初からない。

彼女が自分にしかメリットがないと気にして断ろうとしていたので、納得してくれそうな理由をつけただけだ。

母は後継者争いの件で有益な嫁を望んでいるので、渚を紹介すれば別れさせようとしてくるだろう。

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