御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
抱きしめたい気持ちを堪え、代わりに弁当箱が入ったバッグを渡した。

「おいしかったよ。弁当のおかげでリフレッシュできたから午後はいつもより仕事がはかどった。ありがとう」

パッと花が開くような笑顔を見せ、彼女が頬を染める。

そのあとはもじもじと恥ずかしそうにした。

はにかむ姿も可愛くてまた抱きしめたくなったが、なんとか自制する。

「あの、ご迷惑でなければ、これからもお弁当を作っていいですか?」

「ありがたいけど、今日のような手の込んだ弁当を作り続けるのは大変だろ。無理しないで」

「楽しんで作っていますので。それにお役に立てるのが嬉しくて――あっ、大きなこと言ってすみません。些細なことしかできない私ですけど、お世話になりっぱなしじゃなくてなにかできたらと思うんです。作らせてく
ださい」

「渚ちゃん……」

自分で言うのもなんだが、子供の頃から女性にモテてきた。

これまで好意を持って近づいてきた女性たちも宏斗に優しかったが、見返りを期待する気持ちが透けていた。

母に無理やり見合いさせられた席の相手女性もだ。

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