御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
どれだけ自分を幸せにしてくれる男なのかと値踏みするような会話にうんざりした。

その女性たちと渚は明らかに違う。

宏斗の役に立ちたいという思いに純粋さを感じ、静かに感動していた。

(本当に清らかだ。この先もずっと一緒にいてくれないだろうか)

準備が整ったので、近々繁史に連絡を取るつもりでいる。

話し合いをして復縁要請の脅威から解放されたあと、渚はどうするだろうかと考えた。

遠慮がちな彼女のことだから、ひとり暮らしに戻ると言って出ていきそうな気がした。

手放したくないと思うと勝手に体が動き、渚を抱きしめた。

「えっ、あの……」

驚き戸惑っているのが伝わってくる。

拒否されたくなくて、わざと軽く言う。

「夫婦なんだから、このくらいは普通だろ」

「で、でも、偽物の夫婦だっていうお話じゃ……」

「岩淵と話し合う時によそよそしい態度だと疑われるかもしれないよ。本物の夫婦に見えるようにスキンシップに慣れてほしい。練習しよう」

「は、い……」

華奢な体だが女性らしい柔らかさも伝わってくる。

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