御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
最初はなんとか話し合って夫婦関係を改善しようとしたけれど、兄が亡くなってからは悲しみで現状を変えようという気力もなくなり、そのうちに段々と叱られるのは自分が至らないせいだと思うようになった。

そんな結婚生活が一年と十か月ほど続き、昨年上京した地元の幼馴染が夫婦関係の異常さを指摘してくれたおかげで目が覚めた。

『ヤバすぎでしょ。今すぐ逃げな』

幼馴染の協力で区の相談窓口に行き、その日のうちにシェルターへ避難した。

そのあとは繁史に一度も会うことなく離婚が成立したのである。

離婚にはあっさりと応じたと弁護士から聞いていたのに、なぜ今になって捜されたのかがわからない。

渚の手首を握る力が強まり、結婚していた時の恐怖が蘇る。

(私になんの用が……?)

「戻ってこい。今度は優しくするから。俺とふたり暮らしじゃなく四人なら安心できるだろ」

渚が怖がっていてもお構いなしの態度を見る限り、性格はなにも変わっていないようだ。

彼の説明によると、母親が脳出血で入院したらしい。体に麻痺が残って退院後は自宅介護になるそうで、父親も彼も困っているという。

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