御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「前々からもう一台、増やそうと思っていたんだよ。でもすぐに使用する予定はないから、必要になるまで君に預けておく」
「ありがとうございます……」
優しい嘘をついて安心を与えてくれる彼に、眉尻が下がる。
すると大きな手で頭をポンポンと叩かれた。
「行こう」
ソファを立ってリビングドアの方へ向かうと、床にケーキの箱が落ちているのに気づいた。
ただならぬ様子の渚を見て土産を落とすほど心配させてしまったようだ。
慌てて拾ってキッチンで箱の中を覗くと、五つのカットケーキは見事に崩れてしまっていた。
隣に立った宏斗が苦笑している。
「ごめん。外出ついでにケーキも買い直そう」
「崩れても食べられます。美味しそうですよ。帰ってきてからいただきます」
「本当にそれでいいの?」
「はい。このケーキが食べたいです。お土産、ありがとうございます」
きっと渚の好みはどれだろうとケーキ屋で迷ったのではないだろうか。
種類の違うケーキを五つも買ってきてくれたのは、真剣に考えてもわからなかった結果のような気がした。その気持ちが嬉しい。
大切に冷蔵庫にしまい、宏斗と一緒に玄関に向かう。