御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
レースのカーテン越しに都会の街並みが広がっている。遠くにそびえるのはスカイツリーだ。

「そうだ、スカイツリーに行きたいです!」

東京に暮らして三年ほどになるのにまだ行ったことがなく、いつも憧れの気持ちで眺めるだけだった。

「いいよ。決まりだ」

「宏斗さんは行ったことがありますよね? 私の希望ですみません」

「ほんの二、三回だよ。俺もすべては見ていない。ふたりして迷子にならないように、手を繋いで楽しもう」

(手を……恋人みたい)

食事中の彼の大きな手に視線を留めて頬を熱くした。

今から手が汗ばんでくる。

「れ、練習ですよね。それも。わかりました……」

「緊張しないで。からかってごめん。渚ちゃんは可愛い反応してくれるから、つい」

笑っているので冗談だったようだ。

ホッとしているのに残念な気持ちにもなった矢先に、追撃を受ける。

「手は本当に繋ぐけどな」

宏斗と話していると動悸が鎮まる暇がない。

恋をしないよう耐えているので思わせぶりなことを言われるのは困るが、その一方で喜んでしまう正直な気持ちも消せなかった。



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