御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
それから支度をして家を出て、スカイツリーに着いたのは十一時頃だ。

小花柄のワンピースは結婚前に買ったもので、渚にとっては値段が高かった一張羅である。

家を出る時に宏斗に『その服、似合ってる』と褒めてもらえたのが嬉しい。

彼はカジュアルなジャケットにグレーのストレートパンツを合わせている。

なにを着てもモデルのように素敵な彼はここへ来るまでに女性の視線をチラチラと浴び続けていたが、いつものことなのかまったく気にしていない。

(私、周りの人からどんなふうに見られているんだろう)

ふと心配になった。宏斗の妻や恋人には見えないかもしれない。

そう考えてしまうと、せっかく彼が褒めてくれたワンピースを着ていても自信が下降した。

すると宏斗に手を繋がれる。

「えっ、あの」

「デートの間、手を繋ごうと言っただろ?」

「はい……」

顔が耳まで熱くなったが、それには触れずに彼が笑顔で手を引く。

「まずは水族館だ」

すみだ水族館は東京スカイツリータウンの東京ソラマチ内にある。

来年十五周年を迎えるそうだが、館内は経年を感じさせないほどきれいに保たれている。

< 69 / 222 >

この作品をシェア

pagetop