御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「せっかく来たからプラネタリウムも入らない?」

「入りたいです!」

ここにプラネタリウムがあるのは知っていた。

水族館とプラネタリウム、ふたつもなんて贅沢だと思い言えなかったが、前から来てみたかった。

渚が喜ぶと宏斗も嬉しそうな顔をしてくれた。

七階に上がり、上演時間まで少し待って入場する。

ドーム型の天井の下に二百ほどの座席が並んでいて、渚たちの席は前から二列目の端だ。

座って始まるのを静かに待っていると、宏斗が独り言のように呟く。

「あそこの席がよかったな」

最前列の中央に三日月をイメージしたリクライニングソファが三つ並んでいる。

ふたりでひとつのソファを使う仕様になっていて、大学生風のカップルがくっつくように仰向けで横になっていた。

宏斗がぼやいたのはその席のことのようだ。

学生カップルと自分たちを置き換えて想像し、動悸が加速した。

(宏斗さんとあんなふうに寝そべるなんて、私には無理だよ)

酷使された心臓が家出してしまうかもしれない。

三日月シートは三つしかないので、きっとかなり前に予約が必要なのだろう。

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