御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
夫婦という設定で繁史と話し合う相談はしていたのに、俺の妻だと言われて心臓が大きく波打った。

名前を呼び捨てられるのにも鼓動を弾ませてしまう。

繁史は目を見開いているが、すぐに元の調子に戻って言い返してくる。

「嘘だな。少し前まで渚がボロアパートでひとり暮らしをしていたのは知ってるぞ」

(そうよね。やっぱり夫婦という設定には無理があるかも)

作戦の失敗を悟りオロオロしている渚とは違い、宏斗は冷静だ。

「渚と半年交際して結婚したのは先週だ。結婚の後押しをしたのはお前だよ。彼女がお前のせいで住まいも仕事も失ったから、結婚して一緒に暮らそうと提案した。最高の妻を手に入れられたことだけは、お前に感謝している」

宏斗の腕の中から恐る恐る繁史を見る。

宏斗の説明に不自然な点はないように感じたが、まだ疑うような顔をしていた。

「嘘だろ。あんたみたいないかにも女にモテそうな男が、なんの取り柄もない渚を妻にするとは思えない。大方、夫婦のふりをしてくれと頼まれたんじゃないのか?」

(宏斗さん、すみません。この作戦、私のせいで失敗みたい……)

< 82 / 222 >

この作品をシェア

pagetop