御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「出ていかないでくれ」

「えっ?」

「君のいない生活は想像したくもない」

(ど、どういう意味?)

彼ほどの人に女性として求められているわけがないと思うので、恋愛関係を少しも期待していない。

ただ困惑していると、彼の方に振り向かされた。

切なげに眉根を寄せた彼が真剣な目で見つめてくる。

「あの、私がここにいると宏斗さんに迷惑をかけるばかりなので……」

「迷惑だと思ったことはない。この半月ほど、体調がよかったのは渚ちゃんが生活を整えてくれていたからだ。家に帰るのが楽しみで、君の顔を見ると仕事の疲れも吹き飛んだ。一緒にすごす時間が心地いい」

(私、そんなに役立っていたの?)

嬉しい驚きで声が出せない。

真剣な顔を崩さない彼は、緊張しているのか喉ぼとけを上下させていた。

「君はすでにかけがえのない存在なんだよ。苦しくてこれ以上は気持ちを抑えられない。俺と結婚してくれないか? 偽装ではなく本物の妻になってほしい」

もう十分に驚いているのに特大級の衝撃に襲われて息が止まった。

(今、なんて……?)

腰が砕けたように倒れそうになったところを、宏斗に支えられた。

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