御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
今回に限らずいつもそんな感じだが、そんな母親でも役立ってはいる。

人当たりがよくコミュニケーション能力が高いので、父も驚くような取引をまとめてきたことが数回あった。

自分が父の後継者に指名された時には引退してもらうつもりだが、今は上司なので邪険な態度は取れない。

「仕事の話なら聞きます」

「もちろん仕事よ」

(本当か?)

半信半疑で執務室に通すと、応接用のソファに座った母に早速裏切られた。

「この前、経産省の参事官にお会いしたのよ。ご子息が乗り気ではないようですのでとお見合いをお断りされたわ。あなた、また勝手に断ったわね?」

母が宏斗には言わずに進めていた参事官の姪との見合いの件だ。

面識のなかった参事官に不自然なく会うため、知人を三人介さなければならなかった。

大統領発言の影響でただでさえ忙しいのに苦労させられ、文句を言いたいのはこちらである。

腰を下ろしてゆっくり話す気にはなれず、ソファの横に立ったままだ。

プライベートの話なので、こちらも息子としてぞんざいな口調で言い返す。

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