御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
「勝手なのはどっちだ? 結婚相手は自分で選ぶと言ったはずだ。余計な仕事を増やさないでくれ」

「本当に結婚する気があるの? あっちは奥さんが懐妊中だそうよ」

あっちとは、宏斗の異母兄のことだ。

「めでたいな。あとでお祝いの連絡をしておこう」

「なにのん気なことを言ってるのよ」

兄は二年前に結婚している。

その時にも母に言われたが、子供ができたら次世代もいるなら安泰だと父が後継を兄の家系に決めてしまうかもしれないとヒヤヒヤしているようだ。

「なんども言うが、兄さんと争う気はない。老舗の大手企業がお家騒動で株価を下げたのを知ってるだろう。親族間で揉めては企業価値が下がる。兄弟で協力してISSIKIを盛り立てていくべきだ」

母に言いくるめられ、兄をライバル視していた子供時代はとっくに過ぎた。

大人になった息子をいつまでも操れると思うなという気持ちで眉根を寄せたが、すかさず切り返される。

「きれいごと言っても母親を騙せないわよ。負けるのがなにより嫌いでしょ? 競泳のライバル、航くんだったかしら。その子に負けた全国大会のあと、あなたは倒れたわよね」

< 96 / 222 >

この作品をシェア

pagetop