御曹司の溺甘庇護欲が最愛妻と双子を取り戻す
負けている状況が許せなくて焦って空回りし、状況判断を間違えることも何度かあった。

これではダメだと気づいて兄へのライバル心と向き合ったのは、入社六年目のことだ。

努力していれば結果はおのずとついてくる。そう自分に言い聞かせて今も心の安定をはかっている最中だというのに、焦りの中に引き戻そうとしてくるような母の言動を苦痛に感じた。

「私は宏斗にISSIKIを継いでもらいたい。宏斗は兄に負けたくない。私たちの望みは一緒よ。結婚はそれを叶えるための手段のひとつなのよ。すぐに次のお見合い相手を探すわ。実はもう目星をつけているの」

(勘弁してくれ。計画通りではないが、仕方ない。渚の存在を明かすか)

母にとっての嫁の条件は、父が無視できない権力者や取引相手の家柄の令嬢であることだ。人柄や相性は二の次、三の次だろう。

渚が母に傷つけられないように、結婚の話は慎重に進めるつもりでいた。

父や親戚、懇意にしている仕事関係者に紹介し外堀を固めてから恋人の存在を母に明かす予定でいたのだが、また断りにくい相手に見合いを打診されては困るので計画の変更が必要になった。

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