娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
蓮斗はマンション脇の来客用の駐車場に車を止めると、ハンドルに両腕を預け、マンションを見上げた。

「暗くてハッキリしないけど、綺麗なマンションだな。新しいのか?」

「新築で入居したので、築五年くらいですね。会社が何室か社宅として借り上げている物件なんです」

転勤が決まったと同時に総務から転居先としていくつかの物件を提案され、その中から店に隣接しているこのマンションを選んだ。

シングルマザーにとって職場への近さは気になるところ。

おまけに広めの1LDKは会社からの住宅手当があり杏奈の負担は毎月二万円程度という破格の安さ。

妊娠がわかりひとりきりでここに越してきた時は、この先どうなるのかと不安だったが、職場環境に恵まれていて、経済的にも多少は余裕がある。朱音とふたりでつつがなく暮らしていることを考えると、自分は本当に幸運だ。

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