娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
蓮斗は軽くそう言って、ふうっと息をつく。

「杏奈が幸せならそれでいいって、きれいごとだ。幸せなら、俺がもっと幸せにする。そう決めて、捜していた」

「蓮斗さん……」

「杏奈を幸せにすることが、俺の幸せなんだ」

迷いのない力強い言葉に胸がいっぱいになる。

蓮斗は再会してから一度も杏奈を責めようとしないどころか、当時の状況に気づかなかった自分を責めていた。

けれど、後悔したり自分を責めたりしても、過ぎた時間は取り戻せない。

過去を変えることもできない。

それこそ今さらだ。

だからこそ、これからのふたりの時間を大切にしたいと伝えてくれた。

〝俺がもっと幸せにする〟

わずかに残っていたためらいや遠慮に変わって、熱い感情に全身が支配されていくのがわかる。

「私、私も」

蓮斗への思いが胸に溢れてどうしようもない。

杏奈は頬を包み込む蓮斗の手に、勢いよく自分の手を重ねた。

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