娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「ね。蓮斗君は優しいからいじめたりしないよ。でも、心配してくれてありがとう」

杏奈は朱音をぎゅっと抱きしめた。杏奈を守ろうとしてくれた朱音の気持ちがうれしくて、いとおしくてたまらない。

幼稚園に入園して体だけでなく心も成長したようだ。

「ママ」

ホッとしたように杏奈の胸に頬を寄せる朱音の背中を、杏奈は優しく撫でる。

「ママね、うれしくて涙が出たの」

「うれしい? なにが?」

朱音は顔を上げて、きょとんとする。

「今日、朱音が上手にダンスを踊っていたから、うれしいの。それにかけっこも一等賞。だから泣いちゃったのよ」

チラリと蓮斗を見ると、蓮斗も話を合わせるようにうなずいた。

それが涙を流した本当の理由ではないが、泣きたくなるほどうれしかったのは、嘘じゃない。

「でも、朱音はうれしい時はニコニコするよ。へんなの」

「うん。変かもしれないね。でもね……」

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