娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
杏奈は朱音に優しく笑いかけると、そのまま朱音の向こう側にいる蓮斗に視線を移し、ゆっくりと口を開いた。

「ママ、今すごくうれしくて、本当に幸せなの。だから涙が止まらなかったのよ」

朱音に、そしてなにより蓮斗に向けて杏奈はつぶやいた。

蓮斗のおかげで今最高に幸せだ。幸せの涙なら、毎日でも流したい。

「朱音もうれしいっ」

朱音は杏奈の腕の中から抜け出した。

「起きたら蓮人君がいたからうれしい」

ついさっきまで杏奈をいじめるなと怒っていたのに、もうご機嫌。蓮人の周りでスキップを始めた。

蓮人は「そ、そうか……」と口ごもりながら、杏奈に気弱な視線を向けた。

「こんな時って、どう答えればいいんだ? いや、もちろんうれしいんだ」

杏奈と朱音を交互に見やり、蓮人はオロオロしている。

朱音の無邪気な言葉にどう答えればいいのかわからないようだ。

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