娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
今この瞬間が人生で一番幸せ。

杏奈はしみじみと実感する。

ついさっき公園でそう思ったばかりなのに、それを上回る多幸感で体中が満たされていく。

「蓮斗さん、温かいうちに食べてくださいね。うちの自慢のハンバーグです」

感動で動きを止めたままの蓮斗に声をかけ、杏奈は箸を手に取った。

朱音は完食間近。すぐにプリンが食べたいと言い出しそうだ。

「あ、ああ。俺、ひかり食堂のハンバーグは初めてなんだ」

蓮斗が機嫌よくハンバーグをほおばった。

「蓮斗君、おいしい?」

朱音の声に、蓮斗は何度もうなずいて見せる。

「朱音もハンバーグ、大好き。いっぱい食べられるよ」

「すごいなー。いっぱい食べたら、もっと大きくなれるよ」

蓮斗は朱音の言葉ひとつ、仕草ひとつに目を細め、感動しっぱなしだ。

「へへっ。朱音、もっともっと大きくなって幼稚園の鉄棒も、頑張る」

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