娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
杏奈はふたりのやりとりに耳を傾けながら、小さくため息を吐いた。

「蓮斗君、一輪車は上手に乗れる?」

朱音が〝蓮斗君〟と呼ぶことが気になるのだ。

もともと幼稚園でそう呼んでいたので、それに合わせて杏奈も〝蓮斗君〟と口にするようになったが。

いずれ朱音には蓮斗のことを父親だと伝えなければならない。

朱音が蓮斗君と呼びかけるたび、そのことをどのタイミングでどう伝えるべきか、考えてしまうのだ。

この先杏奈と蓮斗との関係がどう変化するのかはわからないが、蓮斗と離れるつもりはなく、朱音の父が蓮斗だという事実が変わることもない。

だったら朱音が幼い今のうちにそのこと伝えて、家族としての新しい日々に慣れた方がいいかもしれない。

そう思うものの、今の朱音にとって蓮斗は園長先生の家族で、且つ杏奈のお友達だ。

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