娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
誰にも渡さない
第四章 誰にも渡さない

「公美子おばあちゃん、いつ帰ってくるの?」

「うーん。もう少しかな。来週には帰ってくるといいね」

杏奈は塔子から聞いた話を思い返しながら、手をつなぎ歩いている朱音に答えた。

ここ『駒田総合病院』は、午前診が終了する十二時が迫り、ロビーは多くの患者で混雑している。

受付や会計の機械の前にも長い列ができていて、腕利きのドクターが揃っていて病院食がおいしいという評判のよさを思い出した。

「朱音、ママの手を離さないでね」

「うんっ」

杏奈ははぐれないよう朱音の手を強く握りしめ、出入り口へと足を向けた。

「公美子おばあちゃん、元気になる?」

朱音は心配そうにそう言って、杏奈を見上げた。

「もちろん、元気になるわよ。今日もニコニコしながら歩いていたでしょ? 次に会う時にはもっといっぱい歩いてるしもっと元気になってるよ」

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