娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
あの日蓮斗に『結婚してください』と言えたのも、蓮斗が欲しくて素直になったから。

「恥ずかしい……」

思い出すだけで顔が熱く、脈も速くなる。

素直になれたのはいいが、自分から蓮斗にプロポーズするとは、夢にも思わなかった。

「ママ?」

「ご、ごめんね。なんでもないから」

つい立ち止まった杏奈を、朱音がきょとんとした顔で見上げている。

「早くフルーツサンド、買いに行かなきゃね」

落ち着かない鼓動をごまかすように、杏奈が言葉を続けた時。

「あっ……」

背中を軽く押され、あやうく転倒しそうになった。

「あら、ごめんなさい」

「い、いえっ。こちらこそぼんやりしていて、すみません」
 
杏奈は慌てて振り返り、頭を下げた。

混み合う中、立ち止まったせいで、ぶつかってしまったようだ。

「私の方こそ、ごめんなさいね……あら、もしかして、あなた、蓮斗さんの」

「蓮斗さん?」

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