娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
その名前に、杏奈は顔を上げた。

「やっぱり。蓮斗さんと付き合っていた……えっと。ごめんなさい、名前は忘れたわ」

「……え」

杏奈は息をのんだ。

「駒田さん?」

蓮斗の見合い相手だった駒田が、目の前で笑っている。

髪型がショートからボブに変わっているが、スラリと背が高く端整な顔立ちは以前のまま。ひと目で駒田だとわかった。

病院の制服を着ているところをみると、ここで働いているようだ。

離婚後実家に戻っていると聞いたような気がするが、父親が院長を務めるこの病院を、手伝っているのかもしれない。

「私のこと、覚えていたのね。まあ、当然よね。恋人と別れろって言われて、忘れるわけないわね」

「あ、あの……」

駒田は杏奈に気安く話しかけ、笑っている。

わだかまりひとつ感じられない声に、杏奈はたじろいだ。

まるで五年前のことなどなかったようだ。

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