娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「今日はどうして? どこか悪いの?」

「いえ、そういうわけじゃないんです。お見舞いに来て、今から帰るところで」

「お見舞い? ああ、蓮斗さんのお父さんのお見舞いね。急に倒れたらしいけど、驚いたんじゃない?」

「それは、はい」

驚いたのはたしかだが、今日は蓮斗の父のお見舞いに来たわけじゃない。

できればこの足で病室を訪ねたいが、蓮斗の父が杏奈と会ってくれるとは思えない。

ただでさえ高血圧で倒れたばかりだ。興奮させるようなことは避けた方がいい。

「ママの友達?」

不意に手を引っ張られて見ると、朱音が人懐こい笑顔を駒田に向けていた。

「え? う、ううん。友達っていうか……」

「ママ? まさか、子どもがいるの?」

「はい、でも……」

杏奈はとっさに朱音を背中に隠した。

蓮斗の子どもだとわかれば、なにを言われるかわからない。

「ママ、朱音、こんにちはしなきゃ」

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