娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「朱音? それは、今はいいから」

慌てる杏奈にかまわず、朱音は顔を出し「こんにちは」と駒田に声をかけた。

普段から近所の人や杏奈のお店の同僚たちに会ったら、ちゃんと挨拶するようにと言い聞かせているせいだ。

「茅島朱音です」

朱音は続けて名前まで伝えている。

「朱音ちゃん?」

駒田は朱音の前で膝を突くと「こんにちは。駒田香帆よ」と言ってニッコリ笑った。

「朱音ちゃん、挨拶ができて偉いわね。何歳なの?」

「四歳っ」

「四歳って、じゃあ、この子って……それに、よく見たら似ているわね、っていうよりそっくりじゃない? れん――」

「朱音は私の子です」

杏奈は駒田の言葉を遮った。

年齢から朱音が蓮斗の子どもだと察したようだが、今それを伝えるわけにはいかない。

駒田の口から蓮斗の父に伝わるかもしれないからだ。

以前のふたりの関わり方を考えると、その可能性は高い。

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