娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
廊下にいる杏奈を見つけて、思わず飛び出してきたようだ。

「朱音……」

杏奈はしゃがみ込み、朱音の体を抱きしめた。

「そうよ。朱音に会いに来たの……ううん、お迎えに来たのよ。ねえ、転んだんでしょ? 痛くない?」

慌てて朱音の体を確認すると、両足の膝からふくらはぎにかけて包帯が巻かれていて、腕にも何カ所かガーゼが貼ってある。

見た目には痛々しいが、しっかりと治療が終わっているようで安心した。

ただ、他にも擦り傷がちらほらある。かなり豪快に転倒したようだ。

「大丈夫?」

「うん。痛くないもん」

「ほんと?」 
 
音は何度もうなずいている。

治療が終わったとはいえ、まだ痛みが残っているはずだ。

杏奈に心配をかけたくないのだろう。

「朱音、病院でも泣かなかったのよね。偉いわよ」

「へへっ。朱音、泣かないもん」

「もんって……」

杏奈は朱音をそっと抱きしめた。

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