娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
杏奈を気遣う優しさに胸がいっぱいになる。

「ママ?」

「……なんでもない。朱音が大好きだなーって思ってるだけ」

「朱音もママが大好きっ」

声を弾ませ勢いよくしがみつく朱音を、杏奈は全身で受け止めた。

その瞬間、鼻先に消毒薬の匂いが掠めて、さらに強く抱きしめた。

転んでケガをする程度のこと、ここまで心配する必要などないとわかっていても、元気な姿を見るまでは心配でたまらなかった。

「この子、杏奈の子……なのか?」

不意に頭上から聞こえて来た声に、杏奈はハッと動きを止めた。

朱音のことが心配で、蓮斗のことが頭から抜けていた。

杏奈は朱音を隠すように胸の中に抱きしめた。

「あの……それは、そうなんですけど。蓮斗さんには関係ありませんから」

「関係ないって……そんなことないだろ」

張りつめた声に杏奈が体を小さくしたと同時に、さくら組の教室から園児たちが飛び出してきた。

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