娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
わざわざ店に来たのも、突然姿を消した杏奈自身を心配しているだけで、それ以上の意味はないのだろう。

「でも、あの、どうして私がここで働いてるって知ったんですか? ……園長先生が?」

この間幼稚園で蓮人と顔を合わせた時に、なにかあると察したのかもしれない。

「いや、そうじゃない」

蓮斗は即座に反論する。

「朱音のママ、ひかり食堂でおいしいご飯をつくってるんだよ。ママのご飯大好き。だったかな」

「……え?」

杏奈は目を瞬かせた。

「朱音ちゃんがここを教えてくれたんだよ。ママのごはんおいしいから食べてねって」

「あ、朱音がそんなこと? あの子……」

杏奈はめまいを覚えた。

たしかに言い出しそうだ。

人見知りをしない朱音の性格を、恨めしく思う。

「背が高くて運動神経抜群。人懐こくて言葉も早い」
 
指折り数える蓮斗の声が、自慢げに聞こえるのは気のせいだろうか。

< 40 / 249 >

この作品をシェア

pagetop