娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
杏奈がそれを認めたことで心が沸き立ち、平静を装いながらも仕事どころではなかった。

正直、今もまだ信じられないが、朱音の顔を思い出すたびそれが現実だと実感する。

顔立ちが似ているだけでなく、眩しさに敏感で外に出た瞬間手を目の前に翳したり、人懐こく相手の目をまっすぐ見て話したりする仕草は蓮斗と同じ。

自分の娘だとしっくりくるだけでなく、愛おしさで全身に温かな思いが満ちていくのがわかる。

その一方で、杏奈がひとりでどれだけ大変な思いをしながら育ててきたのか、容易に想像できる。

家族からの愛情に恵まれていない杏奈が、出産や子育てを家族に手伝ってもらったとは思えない。

ひとりで育児のすべてを背負い、苦労しながら朱音を育てているはずだ。

「はあ……」

力なくソファの背に体を預け、ため息をつく。

< 47 / 249 >

この作品をシェア

pagetop