娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
早く杏奈を見つけ出していれば、彼女の苦労やプレッシャーを引き受けてやれたのにと、後悔ばかりだ。

まさかこんな近くにいるとは思わず、何度も九州に足を運んでいた自分の滑稽さに、掠れた笑い声が漏れる。

「杏奈……」

それでもこうして杏奈と再会できた。

今はその奇跡をかみしめたい。

蓮斗は杏奈との縁が再び繋がったことに感謝しながら、ふたりが付き合い始めた頃を思い返した。 



◇  ◇  ◇


 ――十四年前。

「茅島さん……? なんでここに?」

模試の帰りにたまたま立ち寄ったカフェで、蓮斗は高校の後輩、茅島杏奈を見かけた。

店の制服らしい茶色のシャツとパンツに黒いエプロンを身に着け、慣れた動きで客に料理を運んでいる。

普段おろしている長い髪はポニーテールですっきりまとめられ、広い店内をにこやかに動いている。

まさか、アルバイト? 

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