娘のパパと再会したら今度こそ逃げられません
「……茅島さん?」

杏奈の声のトーンが変わり、蓮斗は首をかしげた。

スマホ越しだからか、落ち込んでいるように聞こえたのだ。

「……なにかあったのか?」

『いえ、なんでもないんです。大丈夫です』

途端に焦った声が返ってくる。

『大したことじゃないんです。ただ……』

「ただ?」

『ただ。せっかく先輩とこうして話せるようになったのに、文化祭が終わったらそれもなくなると思うと寂しくて。……あ、いえ。残念だなと思っただけで。それだけです。気にしないでください』

ひときわ大きくなった杏奈のあたふたする声が、深夜の部屋に響く。

『とにかく、受験勉強、がんばってください』

「ああ。それは、もちろん……ありがとう」

その通りかもしれないと納得する。

文化祭が終わり実行委員長の引き継ぎが完了すれば、こうして電話をしたりメッセージのやり取りをする理由もなくなってしまう。

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