ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜
 手持ち無沙汰で、私はぼんやりとレオンハルトの手元を見ていた。
 地図を指差す彼の手。
 白い手袋をしているけれど、その右手首のあたりが、わずかに赤くにじんでいるような気がした。

 気になって目を凝らす。
 彼が地図上の駒を動かすたびに、ほんの少しだけ顔をしかめている。
 一瞬だけれど、痛みをこらえているような表情。
 白い手袋の布地を通して、じわりと赤い色が広がっているのが見えた。

「あの……レオンハルト」

 私は思わず声を上げていた。

「はい。何か問題がございますか?」

 レオンハルトが、しゅっと背筋を伸ばし、こちらを見る。
 私はおそるおそる、彼の手首を指差した。

「その手……怪我してるの?」

「え?」

 レオンハルトは驚いたように自分の手首に視線を落とした。

「ああ……これは。大したことではありません。朝の訓練中に少々」

 と、言いながら、彼は慌てて手を後ろに隠そうとした。

「報告の途中なので。お気になさらず」
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