ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜
 やばい。
 またやってしまった。ロゼリアのキャラ設定を完全に無視してる!

「あ、あのっ! これは、その……き、気まぐれよ! そう、ただの気まぐれ!」

 私は顔を真っ赤にして叫んだ。

「痛そうにしてると、報告が聞き取りにくいから……だから、早く治しなさいって意味で!」

 必死の言い訳。
 場に、沈黙が落ちる。
 やっぱり変だと思われるかな。
 不安でうつむきかけた時、頭上から柔らかい声が降ってきた。

「……ありがとうございます」

 顔を上げると、レオンハルトが破顔していた。
 さっき顔に張り付けていた営業スマイルじゃない。
 目尻を下げて、本当に嬉しそうな、温かい笑顔。
 彼はハンカチの上から手首を、愛おしそうに左手で覆った。

「この傷、一生の誉れにします」

「ええっ!? いや、すぐ治るでしょ!?」

「いいえ。ロゼリア様から頂いた、はじめての慈悲のしるしです。……大切にします」

 その瞳があまりに熱っぽくて、私はカッと体温が上がるのを感じた。
 なにこの人……忠誠心すごすぎない?
 騎士道とか、そういう感じのあれ?  
 自分の小さな行動で、誰かがこんなに喜んでくれるなんて。
 教室の隅っこにいた時には味わえなかった、むずがゆい嬉しさが胸に広がる。
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