ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜
 ユーリウスが、眼鏡の奥で目を細めた。

「……ふん。単純だな」

 そう言いながらも、彼がページをめくる手つきは、さっきよりも少しだけゆっくりになっている。

 会議が終わると、レオンハルトは騎士団の訓練へと戻っていった。  
 部屋を出ようとしたとき、ユーリウスがすれ違いざまに立ち止まる。

「……ロゼリア様」

「は、はい!」

 急に声をかけられて背筋が伸びる。
 ぼーっと聞いている先生の話の途中で、急に名前を呼ばれた時みたいな緊張感。
 ユーリウスは冷ややかな瞳で、じっと私の顔を――まるで魂の形まで見透かすように観察した。

「今日のロゼリア様は、魔力の波長が、やや、乱れているようですね」

「えっ……そ、そう……?」

「まあ、気のせいでしょう。……今のところは」

 意味深な言葉を残して、彼は足音もなく去っていった。

 こ、怖い……!
 疑われてる!?

 冷や汗を拭っていると、背中をドンと叩かれた。

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