ミラージュ・プリンセス♡ 〜私が、王女さまって本当ですか?〜
 最悪だ。
 借り物のドレスなのに。

 ロゼリアに怒られるかな。

「ごめんね、本当にごめん! 怒るよね、処刑だよね……」

 ライトが青ざめて震えている。

 私はドレスをぱたぱたと叩きながら、思わずぎょっとして彼の顔を見た。

 処刑って、処刑!? え!?
 しょんぼりと垂れた犬耳がライトの頭の上に、見える気がする。

「しょ、処刑はしないよ!」

「え?」

「ちょっとびっくりしたけど、面白かったよ。すごい勢いだったね」

 私は笑ってしまった。
 だって、紅茶を噴き出す金属で出来た蜘蛛なんて、漫画みたいでおかしかったから。

「え、笑ってる……?」

 ライトは目を丸くした。

「いつもなら、ああ、不愉快。この塵くずを今すぐ溶鉱炉に溶かしなさい!って蹴り飛ばすのに」

「ええっ、そんなひどいこと言うの!?」
 
 ロゼリア……もしかして、悪役王女みたいなキャラクターなの!?

「うん。ロゼリア様、僕の発明品のこと『ゴミ』って言うから……」

 ライトは悲しそうに、動かなくなった金属の蜘蛛の背中を撫でた。

「僕、役に立ちたいだけなんだけどな。レオンハルトやユーリウスみたいに強くないし、頭も良くないけど……発明でみんなを笑顔にしたいのに」
 
 その横顔を見て、私は胸が痛んだ。
 自分に自信がなくて、でも認められたくて。
 それは、私――小鳥遊美亜と同じ。

「ゴミじゃないよ」

 私は自然と言葉にしていた。

「この部屋にあるもの、全部キラキラしてて素敵だと思う。私、こういうの好きだよ」

 お世辞じゃなかった。
 座っているだけで、眺めているだけで、ワクワクする空間を作れるライトは、すごいと思う。

「……本当?」

 ライトが顔を上げた。

「うん。失敗しても、また直せばいいじゃない。私、応援するよ」

 そう言って微笑むと、ライトの瞳にじわりと涙が浮かんだ。
 次の瞬間。

「ロゼリア様〜〜っ!!」

 ガバッと抱きつかれた。

「えっ、ちょ、ちょっと!?」

「大好き! 今日のロゼリア様、最高! 僕、一生ついていく!」

「く、苦しいっ! 離れてー!」
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