2Kの君~終電帰りの限界OL、2Kの扉を開けたら異世界騎士の部屋でした
 忙しいんだから。
 と、凛子はぶつぶつ呟きながら、大股で部屋を横ぎり、戸棚のような場所から何かを取り出すと、押し付けるようにシェイルに渡す。複雑な印字がされてある硬質の筒を指先でなぞってシェイルは複雑そうな表情を浮かべた。

「これは?」

「ビール、お酒」

 シェイルが軽く振ると水音がする。

「ああああ、何振ってるのよ! ばかじゃないの! もう」

 凛子は呆れたようにシェイルの手元から缶をとりあげ、代わりに自分が持っていたものを手渡した。

「どうやって飲むのだ」

 その言葉に凛子は項垂れる。

「なんかあんたと話すの疲れる……やっぱり夢。それとも疲労からくる幻覚と幻視……ストレスかも……」

「夢ではないと思うが……これは冷たいし」

 片手で缶を握りこんだシェイルは、あいている方の手を凛子に伸ばし、華奢な肩を抱き寄せた。

「お前は、暖かい」

 一瞬の間のうち、叫ばれた単語は、シェイルに理解できないものだった。
 いわく、セクハラ。
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