魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意

「よかったわ。今度からテネブルと呼ぶわね。わたくしはシャルレーヌ、こちらはルイとロミよ」


改めて自己紹介をすると、知っているといわんばかりに体を揺らす。
これは気に入った時や頷く代わりにしているようだ。
ひんやりとした冷たい触手に体を寄せると心地いい。

月明かりが照らす中、テネブルとの密会は数日の間続いていた。
次第に真夜中ではなく、ヴィクトールが起きている間でも関係なくやってきては知らない間に消えてしまう。

(テネブルったら、またいなくなってしまったわ。もしかして陛下に呼ばれたのかしら)

その日の夜、いつもの時間にテネブルがやってきた。


「ふふっ、今日も遊びましょうね」


テネブルもご機嫌でいつものように抱きしめながら夜を過ごそうと思った時だった。


──コンコンッ

深夜に響く乱暴なノックの音。

(こんな時間に何の用なのかしら……)

護衛として立っているロミが止めないあたり、問題ない人物なのだろう。
そのままロミが扉が開くと、部屋に入ってきたのは不機嫌そうなヴィクトールだった。
いつもの正装ではなくラフな格好を見るに、つい先ほどまで寝ていたようだ。
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