魔力0の訳あり王女、最狂につき取り扱い注意
「どこでそれを知った?」

「あら、なんのことでしょうか」

「…………答えろ」


ヴィクトールの低い声が耳に届く。
しかし剣先が首に触れようとした瞬間、テネブルが短剣に巻きつくようにしてヴィクトールを止めた。
触手を尖らせて怒りをアピールしている。
つまりシャルレーヌを傷つけるなということを言いたいのだろう。


「テネブル、わたくしは大丈夫ですわ。むしろ……」


シャルレーヌはヴィクトールの剣を掴んでいる手を掴んで自分の方へと引き寄せた。
剣先がシャルレーヌの細い首に食い込んでいく。
ヴィクトールは反射的に距離をあけようとするが、その手が動くことはない。
ヴィクトールもシャルレーヌがここまで力が強いと思わずに戸惑っているようだ。


「おい! 手を離せ」

「うふふ、陛下こそこのまま力を抜いてくださいませ」

「……何を!」

「どうぞ最後まで突き刺してください」


さすがのヴィクトールにも焦りが滲んでいた。
シャルレーヌは微笑みつつも、力を緩めることはなかった。
このままでは間違いなく短剣が首を突き抜けてしまう。
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